第14回 動機づけと自己制御
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目標 & ポイント
1. 動機づけに関するケラーのARCSモデルについて理解する
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2. 自己制御について理解する
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3. インストラクショナル・デザインの位置づけについて理解する
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1. 動機づけ
ケラーは動機づけ研究をレビューし、
動機づけの概念を4つに分類(ARCSは頭文字)
定義: 学習者の関心を捉える、学習する好奇心を刺激する
プロセス質問: どのようにしたらこの学習経験を刺激的でおもしろくすることができるだろうか?
定義: 学習者の肯定的な態度を引き起こすように、個人的なニーズや目的を満たす
プロセス質問: どのようなやり方で、この学習経験を学習者にとって価値あるものにできるだろうか?
定義: 学習者が成功してそして自分の成功を統制するということを、学習者が信じ感じ取ることを助ける
プロセス質問: どのようにしたら、教育によって、学習者が成功するのを助けたり、自分の成功を統制することができるようにしてあげることができるだろうか?
定義: 達成を(内的と外的)報酬によって強化する
プロセス質問: 学習者がその経験に満足し、学習を続けようと望むようになるために、何をすることができるだろうか?
要因ごとに学習への動機づけを高め維持させるための方略を生み出すための質問
4つの要因について関連する心理学理論とそれぞれの下位分類を紹介
どのようにして学習者の注意を喚起し持続させるか
注意に関する心理学理論
適度の覚醒の時が最も学習効果が高い
逆U字曲線で示される
注意に関する下位分類・プロセス質問・支援戦略
彼らの興味を捉えるために何ができるか?
新奇なアプローチを使って、個人的または感情的材料を挟み込んで、好奇心と驚嘆を生み出す 質問をし、矛盾を引き起こし、探求を行わせ、挑戦を考えることを育むことで、好奇心を増す
どのようにしたら彼らの注意を維持することができるのか?
発表スタイル、具体的な類推、人間的興味をひく事例、予測しない出来事において変化性をつけることにより、興味を維持する
どのようにして学習者のニーズや目的を満たすか
関連性に関する心理学理論
関連性は、行動の目的に直接関連しているので、動機づけの中で最も強力な要因
関連性に関する下位分類・プロセス質問・支援戦略
どのように、学習者のニーズに最もうまく応えることができるか?
学習者のニーズを知っているか?
この教育プログラムが役に立つという記述や事例を提供し、ゴールを提示するか、あるいは学習者にゴールを定義させる
どのようにして、いつ、私の教育プログラムと学習者の学習スタイルや個人的興味とを結びつけることができるか?
個人の達成機械や、協力的活動、リーダーシップの責任、肯定的なロールモデルを提供することにより、教育プログラムを学習者の動機や価値に対応するものにする
どのようにして、教育プログラムと学習者の経験を結びつけることができるか?
学習者の仕事や背景と関連のある具体例や類推を提供することにより、材料や概念を親しみやすいものにする
どのようにして学習者の成功を統制するか
自信に関する心理学理論
自分の行動とその成功との関連づけ、つまり、自己行動の統制と成功の帰属については心理学においてたくさんの理論がある 自信に関する下位分類・プロセス質問・支援戦略
どのように成功に関する肯定的な期待を持てるように支援することができるか?
成功とみなすための要求事項と評価基準を説明することによって肯定的な期待感と信頼を得る
どのように学習経験が彼らの能力についての信念を支援または拡張することができるか?
学習の成功を増やすような、多くの、多様な、挑戦的な経験を提供することによって、自分の能力への信念を高める
学習者はどうしたら自分の成功が自分自身の努力と能力とに明確に基づくものだと知るのだろうか?
(可能なときはいつでも)個人的な統制を提供する技法を用い、成功を個人の努力に帰属するフィードバックを提供する
どのようにして学習者の達成を内的および外的な報酬によって強化するか 満足感に関する心理学理論
満足感に関する下位分類・プロセス質問・支援戦略
どうしたら学習経験に関する彼らの内発的な楽しみを推奨し、支援できるだろうか?
個人的な努力と達成に対する肯定的な気持ちを強化するようなフィードバックと他の情報を提供する
何が、学習者の成功に対して報酬を与える結果を提供するのだろうか?
褒め言葉、本当のまたは象徴的な報酬、及び動因を使うか、または学習者に努力の結果を示させて(見せるか話して)成功に報いるようにさせる
公平な処遇だったことを学習者に認識させるために何ができるだろうか?
パフォーマンス要求をあらかじめ述べた期待と一貫させて、すべての学習者の課題と達成に対して一貫した測定基準を使用する
ARCSモデルは、e-ラーニングに特化したインストラクショナル・デザインにしか適用できないわけではない
通常の対面での授業設計にも十分に活用することができる
授業場面に限らず、読者の日常生活や職場の様々な場面で、ARCSモデルを具体的に活かすための参考にもなる
2. インストラクショナル・デザインについて
教授学習過程の相互作用を含めた総体が研究対象
教授する過程と学習する過程
教授する内容について、学習者の既有知識から出発して、どのような下位の内容があり、最終的に目標に達成するかを分析する 下位の内容をどのような順番で、どのようなメディアを利用して享受するかを具体的に設計していく
教示とは研究における操作化の一部であり、最も本質的な部分 人間を対象とした研究では、実験協力者に対して教示を行わない限りは研究を行うことはできない
教示とはインストラクショナル・デザインと同義であると捉えることができる
インストラクションは教示であり、言語行動であるので、日常生活のあらゆる場面にも応用可能 3. 自己調整学習
これからのeラーニングには自分の学習に主体的に取り組み、責任を持つ覚悟が必要であるという主張があった この主張に正面から取り組んでいるのが自己調整学習の考え方
ケラーでも触れられている
学習における行動面と認知面との両方を含む概念
学習場面において繰り返し自動的にとられる行動
学習スキルも具体的な行動面を指すが、学習習慣はむしろ学習に向かう姿勢を取り上げている
が学習方略が場面を越えて一貫してとらえる傾向
学習方略について、カテゴリーを分けて紹介
認知的側面を重視したカテゴリー
動機づけ側面を重視したカテゴリー
認知・感情・動機づけ・課題状況・課題場面における他者のコントロール
これらの動機づけ的側面を含めたものは、方略そのものというよりも、認知的過程に影響を与える要因として組み込まれていたり、周辺的、補助的な位置づけで列挙されていたりしている
4. eラーニングをめぐって
eラーニングにおいても同様であり、一人で学習するのはきわめて困難で、対人的相互作用がやはり重要であることが再認識されている
本章で扱ったのはあくまでも教育方法において学習者の動機づけをどのようにして高め維持していくか
単に教育方法として問題を解決するには限界があり、たとえば教育におけるサポートシステムを教員や教育組織として取り組むことが大切
放送大学においても、全国にある学習センターの役割は重要
このことは単に一大学組織の問題にとどまらず、地域や国家として学習者を支援する仕組みが必要であるということ
学習すること学問することは、楽しいことであり有意味なことであり意義深いことである、という共通認識を構築することから検討を始めたい
自己制御という観点からは、学習すること自体、自己決定するものだということ